MQA-CD: Endless Summer by the Beach Boys
Endless SummerのMQA-CDとDCC盤、それに写真には写っていないがPast Masters(Endless Summerではないが)シリーズを聞いてみた。
MQA-CDは、例の掲示板では懐疑的な受け止め方をされている。ディスクメディアとしてはSACD等の選択肢が既にあるわけだから、あらたな投資が必要とされるであろう新規格がなぜ必要なのかという根本的な点からだが、そこはDLやストリーミングサービスを前提というか考慮しているから、というロジックらしい。CD規格に持ち込む必然性が今ひとつ弱い気がするが、そこはそれが可能だからという理由で十分なのかもしれない。どのみちビジネスだし。
ただ問題はたとえばOPPO UDP-205で再生するとして、205はMQA-CDをフルデコードしているのかという点。OPPO公式QAを見ると、205をUSB DACとして使用する場合には、205はコアデコードするが、フルデコードは別のハードウエア(レンダラーなど)でやる、とある。MQA-CDについては、確実な記述は見当たらない。コアデコードの場合、88.2または96khzでの処理となる模様なので、今回のEndless Summer MQA-CDは88.2khz/24bitでの再生となるのかどうなのか。
205のモニター画面でトラックのインフォを表示させた所、352.8kHz/24bitsとの表示は確認できた。
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非MQA対応CDプレーヤーで聞いた音の印象だが、簡潔に言葉にするなら、Endless Summer MQA-CD盤はほんのすこし高域強め、DCCはミッドレンジ重視、PM盤(All Summer Long)は、何もいじらずそのまま、となるか。こうして比較してみるとDCC盤の音の良さに改めて驚く。そしてPM盤も実はほとんど遜色ないことに気づく。ただしPM盤はやや詰めの甘さが感じられる。長く聞いているとそのゆるさというか、放任主義的な音からいつのまにか自分の注意力が別のところにいってしまう。DCC盤は今更だが、最も生気に満ちている音。オーガニックとよくいわれるがそれもわかる。MQA盤は確かに音の輪郭がはっきりしており音の定義が明確。特に聞き疲れもしない。
では、個人的にこれから更にMQA-CDを買うかというと必ずしもそうはなりそうにない。今回のEndless Summerの購入動機のひとつはテープトランスファーが2018年という点にある。つまりこれまでのデジタルデータとは違うと。他は既存DSDファイルを基にしたタイトルが多い。Pet Soundsは2018年トランスファーのようだが、PSに関してはさすがにもういいかなと。
ちなみにどこを探しても情報が見当たらなかったが、マスターが「一部2014年」の一部というのは、
Let him run wild
California girls
Girl don't tell me
You're so good to me
の4曲、となる。こういう情報は購入前に明確にわかるようにしておいてもらいたい。
Let him run wild
California girls
Girl don't tell me
You're so good to me
の4曲、となる。こういう情報は購入前に明確にわかるようにしておいてもらいたい。
また、ホフマンマスタリングのDCC盤では、1曲目Surfin' USA(ステレオ)、5曲目Surfin' Safari、そして追加トラックとして21曲目Good Vibrations(モノ)だが、今回のMQA-CDはオリジナル通りの曲順でGVはなし。ただし、オリジナルで疑似ステレオだった曲はモノに差し替え、となっている。Surfin' USAはモノ。
あくまで推測だが、音質面で、個々の曲のオリジナルマスターからトランスファーしているDCC盤と比較して大きく劣るような印象がなかったことからすると、今回の盤もコピーテープをコンパイルしたであろう“オリジナルマスター”ではなく、個々の曲のオリジナルマスターからトランスファーしているのかと感じる。
ということで、Endless Summerに関して言えば、DCC盤が個人的にはお勧めだが、探すのも大変かもしれないのでそれならば今回のMQA盤でもいいかなと。
ちなみにUDP-205でMQA盤を聞いた印象だが、たしかにそれなりのハイレゾ感はあった。ただし、それが本当に24/352.8かどうかはわからないわけで。聴覚上は。仮に、24/88.2と言われたら、なるほど、という印象。まあ、そんなもんなんでしょう。
あ、それと、このCDカバーというかプラ製ファイル(?)なのかなんなのかは意味がよくわからない。棚のスペース節約になるとのことだが、背の幅がしっかりあるからそれは無理。また、ここにCD盤をどうやって収納する前提でいるのか不明。紙ジャケじゃないからCD袋もついていないし。まあでもある意味、コレクターズアイテムとしての価値はあると言えばあるような気もする。そういうことか。