Stevie Wonder: MQA vs.

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公共の図書館に行ったところ、MQA-CDを数タイトル発見。久しぶりに聞いてみたところ、意外にいい感じ。うーむ。以前も書いたが音源が何かというのは超重要なポイントだが、マスタリングもまた重要ということで、GHのセルフタイトルMQA-CDはいまいち、The Beach BoysのEndless Summerはおすすめ、という結論だった。

 

で、このStevie Wonderのthe Definitive Collectionだが、マスタリング面では過不足なし。音源は、以下の通り。

★米国オリジナル・アナログ・テープを基にした2019年DSDマスターを352.8kHz/24bitに変換して収録 (ハイレゾ未配信音源)(オビ裏:一部楽曲を除く とある)

https://www.universal-music.co.jp/stevie-wonder/products/uicy-40287/

 

MQAへの個人的評価だが、折りたたみ式ハイレゾ方式は特段プラスには捉えていない。OPPOでMQA再生しているが(画面上の情報表示を見てもそのはず)、果たして本当にハイレゾを再生できているのか、聴覚上確信が持てない。それよりも時間軸上の滲み排除の面が気になる。ピントの合い方がシャープ。これは聴覚的にも感じる。そこに買い直すだけの価値があるかどうかだが。

 

で、Innervisionsからの曲を上記の盤とMFSL盤で比較したところ、かなりいいレベルで競合している。そこで音源の時期は異なると思われるが(Talking BookからHotter than Julyからの曲も2011ではなく、本当に2019年トランスファーなのかは不明)、MQA InnervisionsとMFSL、AF盤を比較した。

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●結論:オススメはAF盤です。

 

これは自分でも意外。ただし、どの盤(の音質)も非常に近い位置にあるのでその時に一番手頃な盤を買っておけばそれで十分とも言える。

 

そんな中で敢えて言うならばの話だが、まず、気づいたのが、MQA InnervisionsとMQA Def. Collectionはやはり違う時期のトランスファーかな? ということ。あるいはマスラリングの違いか。2つのMQA"Higher Ground"を比較したが、ヴォーカルの音像に違いがある。MQA Def.のほうが仕上がりが良い。ヴォーカルがより自然で音場の奥行き(左右ではなく前後)の中央に位置している。MQA Innervisionsの方はやや後ろ目の位置どりで、高音域の波形処理が荒いというか、削ぎ落とされているように聞こえる。高音域がややジャギっているような感じ。

 

次に、同曲をMQA, MFSL, AFの3枚のInnervisionsで、ヘッドフォンあり/なしで比較。

 

まず、MQAだが、ハイレゾ感という意味では他と聴覚上の違いはなし。これは私の聴覚の問題かもしれないが。で、MQAは上記の問題(いや特徴か)があり、その点でMFSLとAFの方がベターか。ではその2つはとなると、かつてあれほどピュアな音像に聞こえたMFSLだが、今AFと比較すると、微妙にヴェールがかって聞こえる。その分、MFSLはアナログっぽさがあると言えばあるのだが、輪郭の精緻さという面でAFの方がよいと感じざるを得ない。

 

ということで、オススメはAF盤。ちなみに、MQA Def.とAFの"Higher Ground"比較ではもはやお好みでどうぞのレベル。プレスするマシンが違うと音も違うというのは業界の常識ですが、そのレベルです。

 

(追記)話がややこしい。シンプルに書くとこうなる。

MQA Def. = AF > MFSL > MQA Innervisions

 

 

で、話がここで終わればよかったのだが、ついでにMQA Def.とAF First Finale, AF Talking Book, AF Songs in the Key of Lifeを比較してしまった。ここでは一聴してAFが全敗。んー、どうなのかな、AF Innervisionsとあまりに違いすぎる。音源となったテープの世代が1世代落ちているような印象。それなのにAF Innervisionsだけ、なぜこれだけ優秀なのかという新たな疑問が。

 

そもそもMFSL Innervisionsが好評なのは、アーティスト側が本物マスターテープを門外不出にしていたはずなのに、手違いでInnervisionsだけ本物マスターがMFSLに届いた、だから音質がずば抜けていい、という話が土台にあるから。ま、実際、その話を裏付けるだけの説得力があるくらい音もいいんだけれど。

 

それに匹敵、いやそれを凌ぐAF盤ってどういうこと? 可能性としては、このAF盤がHDCDだということ。ただし私のOPPOHDCD対応を謳っていない。あるいは、MFSL盤と同じマスターテープを入手できたのか? しかし、スティーヴィーの他のAF盤があれなのにそれはあり得るのか。あとは、うーん、MFSL盤のデータを流用したか、だね。盗用ということではなく、MFSLがトランスファーしたデジタルデータがあって、それを使ったという意味で(The DoorsのファーストはSteveがトランスファーしたデジタルデータをその後のリマスター盤に使用していた)。Kevin Grayの腕とCohearent Audioの最新機材のおかげでこの結果、というのは個人的には想像できる。

 

まだ発見はあったが、話が長くなったのでここでこの投稿自体は閉じる。