Bob Dylan:AF・Greatest Hits音質比較

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はっきりくっきりなディランのAF盤、Greatest Hitsと他の盤を比べてみた。

●どれがマスターテープの音に近いのか?~“Like a rolling stone”の場合
結論から先に。

AF盤:シャープネス、解像度共にアップな音。ボーカルのふくよかさが足りないかな? あえて言えばソリッドカットな音。
DCC盤:各楽器の分離感はAF盤に劣るが、ディランの声がより自然でミッドレンジな感じ。奥行き感もあるしボリューム感もこちらの方がある。あえて言えばチューブカット(というか実際にチューブアンプを使っている)。
SonySACD盤:SACD層は当然ながら解像度はベスト。しかし粒立ちがシャープすぎて、ずっと聞いているとだんだん疲れてくるかもな音。
US盤LP:手元に80年代プレス盤しかなかったが、聞いてみるとディランのボーカルはいいが、その他のバッキングトラックが貧弱。んーでもボーカルの声質はDCC盤に近い。

ということで、個人的にはDCC盤が良いかなと。

最近のホフマンのAF盤は、CS&Nのときもそうだったように、以前よりもトレブリーな方向に寄っている印象。まあこれは個々人の機器との相性にもよるのだろうけれど、しかし自分の機器ではDCCとの比較で明らかな違いがあるのも確か。Pet SoundsのDCC盤とAF盤についても同様のことがいえたし。

●ただし
マスターテープの音が実はAF盤の音により近い可能性もあるので、これ以上はなんとも言い難し。

というのも、“Like a rolling stone”に続く6曲目、“Mr Tambourine Man”を60年代プレスのUS盤LP、Bringing it all back homeB面1曲目と比較すると、トーンバランスがかなり近くて、ディランの声質の違いはたぶんvinylか否かというメディアの違いに起因しているようにも聞こえるので。

●まあ
ホフマンはじめ、有名なマスタリングエンジニアもだんだん歳を取ってきて、たぶん生物学的な意味からも聴覚変化は間違いなく起こっているだろうし、あとはマーケットが好む音というのもあるんだろうしで、パラメーターはいろいろとあるわけです。

まとめると、オリジナルミックスでのリマスターであることを考えても、やはりこのAF盤は持っていて損はないかなと(MFSLのディラン盤のすくなくともAnother sideはリミックス)。DCC盤との重なりは“Like a ...”1曲だけ。

AF盤はソリッド、DCC盤はチューブということで、両方持っていると比較も楽しめて良いんじゃないでしょうか。