Doors;DCCゴールド盤 vs. AP盤(SACD+CD)

雨がだんだん強くなってくる週末(終末)感ただよう日にDoors聞くとはまるね~。

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写真の上のはAP盤SACD、下のはDCC(ゴールドCD)。
これは比較といってもなかなか難しい。

DCC盤の音源はほぼ末期症状のオリジナルマスターで、この時に御大が作ったダブマスターがその後のリリースで使用されているそう。

AP盤の音源は「現存する最良コンディションのダブマスター」(AP談)。
それが先述のダブなのか、それとは違うダブなのかは情報がないのでわからない。
このダブ、しっかりテープヒスが残っているのでドルビーコピーではないね。

マスタリングはDCCが御大、APがダグ・サックスで、両方ともチューブカット(というかなんだ、チューブアンプ使用、か)。
製作時期はDCCが1992年、APが2012年。ちょうど20年の隔たり。

●第一印象
夜にぱっと聞いた感じでは、AP盤は全体的に音の腰が弱いというか、DCC盤の力強さ、押しの強さはない。
音の輪郭もDCC盤はより明瞭、AP盤はなんとなくぼんやりしているかな。あくまで比較すると、だけど。

そしてSACD層だが、うーん、、、掲示板で言われていた通り、まずもって音量レベルが低いのかな……、という印象。

しかしアンプのメーターを見ているとそれほどCD層と大きく違わない。
比較してみると、CD層はEQがボーカル寄りで、とにかくボーカルを前面に出してくる音作り。(DCCはもっと全体的に各パーツの定義がはっきりしていてそれぞれに押し出し感がある)

それと比べるとSACD層は全体的によりフラットなマスタリングで、正直、最初は「はて???」という感じ。ハイレゾな音を聞いた時の、「うわ、すごい」といういきなりのインパクトはない。

●Played loud
なんとも言い切れないもどかしさに対処すべく、今度は昼間にもっとでかい音でSACD層を聞いてみた。
もしもSACD層のレベルが低いんだったら、十分なレベルまで音量あげればいいんじゃないの、という。

すると気付いたのだが、アルバムでいうB面の頭、“Backdoor Man”から音の粒立ちがよりフレッシュな感じに変わる。そういえばアルバムマスターといっても、当然ながら、A面用とB面用の2つのリールがあるわけで、ということは、それぞれのコンディションが違うわけか、とも思ったり。

そこからはSACD層がかなりいい感じに。
そして最終曲“The End”ではいつのまにか彼らの詩的世界に没入。

●とりあえずの結論
確かにSACD層はソフトなんだけれど、それは同時に"crankable"(音量を好きなだけ上げられる)でもあるという。CD層はガチっとしていて押しが強いが(DCC盤はさらに強い&低音ズンズン)、音量レベルを上げていくと、どうしてもだんだん耳障り感が出てくるかな。

となると、SACD層はこれでいいと思う。
いや、いいどころか、実際これはかなりいいかも。
そう思ってA面相当の曲もさらに聞き直すと特に問題ないように感じてくる不思議。

CDはカジュアルに、いろいろな場所で(あるいはiPod系プレーヤーで)そこそこの音量で聞くことを前提に、SACDはオーディオファイル系な人がある程度の大音量で鳴らして聞くことを前提にしたマスタリングとでも言おうか。

そう考えると、サックスのマスタリングは再生環境に応じたかなり目的的なマスタリングで理にかなっているなあ、と。
単純な好みとしてはCD層を聞くならDCCに分があるかなと思うものの、このファーストの音により深く浸れるのはSACD層の方。

うーむ、SACDプレーヤーをアップグレードしたくなってきた。^^