Beatles:ラウドカット論争、遂に決着か!?

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引き続き、BeatlesのRubber Soulのラウドカットについて。

前回は聴覚上の(自分の耳で聞いた際の)印象の違いを確認し、結果、マトリックス1はやはり“ラウド”である、という結論に達した。

しかし、「それは主観的判断」と言われれば確かにそれまで。

また、「音が大きく聞こえるのは、実際の音量の違いではなく、コンプレッションによる聴覚上の違いだ」という誰かの説についてはそのままとしておいたので、なんとなく個人的にすっきりしないままだった。

そこで、今回は(前回の最後で書いたように)パソコンに音源を取り込んで(*)波形を比較してみた。その結果が上の画像。

上がマトリックス1、下がマトリックス4。
そしてそれぞれの左チャンネル。

サンプルにしたのは、前回、一番違いが分かりやすく感じたB面3曲目の“I'm Looking Through You”。冒頭のイントロから、歌詞でいうところの“I'm looking through you, where did you go?”まで。

さて、どうだろう?

違いは明らかと言えまいか?

全般的にマト1の波形の方が太く、ピークも大きい。つまりマト1の方が音が大きく、また音の波形の振れ具合も大きいことが窺われる。

(*2009年7月22日追記:しかも位相が反転している。どちらが正しいのかはわからないが。)

画面上部のレベルメーター(緑色の帯の部分)を見ている限り、マト1の方が音量(db)も大きかった。ただし、このメーターは小さくて分かりづらいので、この2ファイルをwav.に書き出したものをEACで開きなおし、ピークレベルを比較してみた。するとこうなった。

マト1:58.6%
マト4:37.0%

つまり、音量もマト1の方が大きいということ。

こうなった理由は、やはりコンププレッション/リミッター、EQの掛け方が違ったからだろう。


ということで、結論

Rubber Soulのマトリックス1は他のマトリックスよりも、実際に音が大きい。
また、ピークとボトムの差がより大きいのだから、その分、音のメリハリ感も大きい。


これは前回の聴覚上の比較の結論と同じ。やはり、自分の耳をまずは信じろ、ってことか。

個人的には、このマトリックス1こそが、ハリー・T・モスにとってのベストテイクだったのだと思っている。マトリックス4は、(そもそもの自分の意志ではなく)プレス工場だかレコード業者だかからのクレームによりカティングし直した盤なわけだからね。

さて、これにて、Rubber Soulラウドカット論争(そんなものがあるのかどうかはさておき)については完結としておきたい。

(*録音チェイン)
レコードプレーヤー→アンプ→(赤白のステレオRCAケーブル)→iBook