ホンダF1撤退(2)記者会見の模様 Honda withdraw from F1

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記者会見の壇上には右に福井社長、左に大島執行役員、司会進行は和田氏。
冒頭、福井社長がリリースを読み上げたが、声にいつもテレビで聞いている時のような張りがない(一瞬、涙声?)。
残念、無念、苦渋の決断という雰囲気。

詰まる所、現下の経済情勢が想像を超えて「加速度的に悪化」しているため、F1活動を見直すというかF1はやめにしてそのリソースを研究開発にまわす、という経営判断である、と。11月中旬のバルセロナテストの時点では撤退は考えていなかったし、もし経済情勢が9月時点のままであればこうした決断にはならなかった、と。ただし一方で、ホンダの正式決定は昨日(12月4日)だが、それ以前から福井氏自身は撤退を決めていた、とも。

チーム売却については必要とあらば現在存在しているエンジン込みでも可だが、今後新たにホンダがエンジンを製造することはない。現在存在しているエンジンの数では1シーズンは戦えない。その後のことは新たなチーム(が現れればの話だが)が考えることになる。チーム買収に手を上げてくれる相手がいれば、場合によっては相当にお安くチームを譲る事もあり得る。(大島氏)

第3期ホンダF1で結局1勝しかできずタイトル争いになかなか絡めなかったが、その原因は「よく分からない」と。「(2006年の)優勝は嬉しかった」「2005年の3戦出場停止となった違反だが、そういったことはなかったと考えている」とも。(福井氏)

諸々の質疑応答が45分ほど続き、最後に(たまたま質疑応答の最後に指名された)今宮氏が「FIAのエントリーは11/1。撤回は7日以内と決まっている。(この時期の撤退発表ということはそれだけに)後始末をきちんとやらないといけない」と述べたところで時間切れで会見は終了。

確かコンコルド協定(? バーニーとプロモーターとのお約束?)ではF1は最低で20台出走することになっている。ゆえにホンダがいなくなれば18台となり選手権としてのレースは不成立となるわけだが、その場合来季のレースはどうするのか。仮に18台が参戦するとしても予選方式やレース時のトラフィックの減少やそもそもF1の商業価値の減少など、色々と影響が出るのは必至。頼みのバーニーは離婚協議中という状況ではF1も最早これまでなのか?

また、ホンダのような大メーカーでさえF1をやめざるを得ないとなれば、今後プライベートチームであるトロロやウイリアムズ、あるいはレッドブルさえもどうなるかはわかるまい。そのあたりのチームが続々とホンダの後に続くとなれば当然F1はもはや成立しなくなる(*その後、各チームはそうした噂を否定し参戦継続を明言)。もちろんメルセデスBMWも自動車メーカーはどこも厳しい情勢なわけで、これはもうまったく先が読めないというか何が起こっても不思議はない。異論はあれどある意味プライベーターがカスタマーシャシーを使って参戦できなくしたことが、ますますF1自身の首を絞める結果にもなっているわけだが、いずれにせよ今のF1がお金がかかり過ぎなのは確か(「以前は現地チームの運営費は100億程度だったが、最近は200億は必要」福井氏)。

1988年に鈴鹿でホンダに魅了された自分だが、ホンダのF1撤退会見の場ではなぜかそれほど落胆もしなかったし、感情的に揺さぶられることもなかった。(“100年に1度”のこの経済情勢を考えれば別に不思議はないとはいえ)淡々と撤退の事実を聞き流せたのは、第3期ホンダF1の迷走具合への失望感とあきらめが、実は自分の中に随分と前からあったからなのかもしれない。

果たして、2009年の人類はF1のない世界を迎えることになるのだろうか。