もちろん素晴らしい結果なのだが、ただし、敢えてたらればを言えば、もしペレスが事故に遭っていなかったなら、そして彼もレースで1ストップだったなら、可夢偉より上位でフィニッシュしていた可能性がけっこう高かったはず。
ペレスは少なくとも10番グリッドからスタートしていただろうし、その場合、1回目のセーフティーカーの際に彼が優先的にタイヤ交換していたはず。となると可夢偉はピットでスタックして順位を失うパターン。で、ペレス5位、可夢偉がんばって追い上げて10位だったなら、レース後の印象はかなり違っていただろう。
振り返ってみると、開幕戦もペレスが可夢偉より上位でフィニッシュしている。つまり新人ドライバーに緒戦で負けるという、かつて高木虎之介がペドロ・デ・ラ・ロサに負けた時のような好ましからざる状況だったわけです。ギヤボックスに不具合があったにせよ、これは可夢偉にとっては微妙に嫌な滑り出しだったはずなのに、両者失格になるというある意味のラッキーがあった。そして今回もある意味、ペレスの不運の裏側の幸運を手にしたとも言える。
もしそうした失格やペレスの事故がなかったなら、ここまでの6戦でのチームメート対決は3勝3敗だったはず。となると、可夢偉、確かに凄いけど、でも新人のペレスはもっと凄い、という話にもなりかねなかったんじゃないかな。
それなのに実際にはしっかりと目立つ結果を残しているのが今の可夢偉なわけで、ほんとに彼は運というかそうした巡り合わせを自分の方へとたぐり寄せて、それをポジティブな結果に結びつけられる強さを持っているなと、そう思わずにはいられないわけです。
まさにこれが今の可夢偉に関して興味深いところ。
確かに「上回っている」ように見えるんだけれど、それはマシンの見えていないポテンシャルを引き出してのことなのか何なのか、ペーター・ザウバーですらよく分からなくて、それで去年は検証したくてハイドフェルドを乗せてみた、という流れでしたよね。
結果、レースしてみるとやっぱり可夢偉が上になる、ということはやはり可夢偉の能力が優れている、ということなんだけれども、それはマシンを単純に(チームメートより)速く走らせるという部分よりも(もちろん速さもあるんですが)レース距離の最後でライバルより先にチェッカーを受けるにはどうするのが最善かという戦略的なセンス、いわば彼のレース観によるものじゃないかと。
その意味では先日のモナコGPで、可夢偉がハミルトンの上になったというのは象徴的。
ある意味、今季の彼の闘い方はバトンのそれに近い。
果たして、レースするとバトンに行き当たる場面が多いように見えるは単なる偶然なのか。(今年はそうでもない?)
ある意味、今季の彼の闘い方はバトンのそれに近い。
果たして、レースするとバトンに行き当たる場面が多いように見えるは単なる偶然なのか。(今年はそうでもない?)
そう考えると、今年バージョンの可夢偉のしっかりとした裏付けのある安定感ならトップチームのセカンドにぴったりなんだけれども、でも彼にはそこすら超えてほしい、という期待が個人的にはある。
トヨタ育成時代からの彼のシーズン毎の成長ぶり、それは尋常じゃない適応能力の高さの表れなんだけれども、それを見る限りでは、彼ならば「遅いマシンに乗れば速いけど、速いマシンに乗ると遅いドライバー(例えばフィジケラ)」のパターンに陥ることはないだろうと思うし、ならば、トップチームで速いマシンに乗り、素質としての速さを発揮しつつ、強さまで併せ持ったドライバーになってほしい、と願わずにはいられない。
トップチームにとって商業面で魅力があるかどうかは分からないですけど、純粋に戦力として考えれば可夢偉という選択肢は明らかに「あり」。ただし各チームの事情もあるので、そう簡単に移籍は実現しないでしょうね~
●移籍先占い!
以下、現状を踏まえた上での個人的な推察です。
以下、現状を踏まえた上での個人的な推察です。
・レッドブルなら、ウェーバーの後釜に良さそうだけど、可夢偉はInfinityブランド(日産)で走ることはできるのか? じゃあウェーバーの後任はどうするか。ロズベルグが獲れるなら最高だが、マッサとなると微妙。それならウェーバー残留の線かな。
・マクラーレンは、数年後にバトンが引退したら、バランス的にぴったり。でもそれって何年後のことかな? あと、このチームにとって日本人という要素はどういう意味を持つのか。エンジンがホンダだった時代ならまだしも。
・フェラーリはマッサの後釜が欲しいというチーム事情はあるものの、実際の所、フェラーリならどんなドライバーだって獲ってこれるわけだから、その上で敢えて可夢偉を選ぶかというと、今の段階ではまだそこまでいっていないんじゃないかと。ただし、じゃあ来年からマッサの代わりに誰がいるかとなると……、これが微妙。今更バリチェロはありえない。シューマッハー、論外。ならばロズベルグを引き抜くか。それができないならば、ウェーバーで我慢するか。違うな。あるいはヒュルケンベルグを抜擢するか。でも、それだったら先に可夢偉を検討、かな。マッサ残留か可夢偉抜擢、、、ならば(マッサの今後の戦績次第では)可夢偉?
・メルセデスは、ミハエルに明らかに限界が見えるので、その代わりのドライバーは欲しいでしょう。現状でニコを手放さないとしたら、ニコと可夢偉……? ドイツのチームでドイツ人と日本人か。ちょっとかつてのトヨタを彷彿させる組み合わせ。けっこう良いかも。ニコとウェーバーというのも、このチームなら良さそう。今のミハエルよりならウェーバーが上でしょう、という。あるいはミハエルつながりでマッサを持ってくるとか?
・ルノーは現状ではトップチームとは言えないので移籍の対象として魅力があるかどうかがそもそも問題。一方、なんだかんだでハイドフェルドがポイントでペトロフを上回っていることを踏まえるならば、可夢偉がファーストドライバーとして活躍できる状況にはある。ルノー=日産絡みという図式はここでも同じ。可夢偉のキャリア構築を考えると、ちょっとメリットが薄いか。クビカの復調次第という面もあるけど、少なくともしばらくは無理っぽいので、ウェーバー/ペトロフくらいで凌ぐか。
ということで、椅子取りゲームはまずはロズベルグの動向次第。2012年までメルセデスと契約があるものの、パフォーマンス条項があって、それによれば今の戦績なら移籍できる状況らしい。もしそうならば、ニコの行き先はレッドブルかフェラーリ。フェラーリでNo.2やるよりなら比較的自由度がありそうに見えるレッドブルでタイトル狙うかな。
ならば2012年は、
レッドブル:ベッテル/ロズベルグ
マクラーレン:ハミルトン/バトン
フェラーリ:アロンソ/マッサ(レッドブルとの戦力対比で可夢偉起用に踏み切れずマッサ残留)
メルセデス:シューマッハー/可夢偉(ロズベルグを失ったので仕方なくミハエル続投)
ルノー:ウェーバー/ペトロフ(クビカ)
でどうでしょう?
レッドブル:ベッテル/ロズベルグ
マクラーレン:ハミルトン/バトン
フェラーリ:アロンソ/マッサ(レッドブルとの戦力対比で可夢偉起用に踏み切れずマッサ残留)
メルセデス:シューマッハー/可夢偉(ロズベルグを失ったので仕方なくミハエル続投)
ルノー:ウェーバー/ペトロフ(クビカ)
でどうでしょう?
~
【追記】
と書いた翌日に早速メルセデスがロズベルグに長期の巨額契約提示か? の憶測記事が。流出阻止に必死な感じ。メーカーだからお金はあるだろうなぁ。どのチームも変更無しの可能性もある中、あとはロズベルグの野望のベクトルの向き次第。
と書いた翌日に早速メルセデスがロズベルグに長期の巨額契約提示か? の憶測記事が。流出阻止に必死な感じ。メーカーだからお金はあるだろうなぁ。どのチームも変更無しの可能性もある中、あとはロズベルグの野望のベクトルの向き次第。