映画Grand Prix:モンツァのオーバル走行シーンはF1ファン必見!

必見というか、もう既に皆さん見てるか。
しかし面白かった。

イメージ 1



100円レンタルということで、ひさしぶりにDVDを借りてみたのだが、いや、これは凄い映画。
こんな作品があったとは知らなかったが、wikiで調べたら昨年DVD化されたということで。


1966年作品なのですが、映像はきれいにレストアされていて見応え抜群。
何が凄いって、60年代当時のサーキット。そしてそこを走るマシンの車載映像。そしてマシン。しかも総天然色(カラー)!

グレアム・ヒルフィル・ヒルジム・クラークの姿がおがめるほか、wikiによればブルース・マクラーレンも出ている。

プロットも秀逸で、F1に関わる生と死、ドライバーの更迭、ライバルチームへの移籍、瀕死の重傷からの復活、そして各ドライバーにシーズン中に代わる代わる訪れる幸運と不運の連続などが編み込まれていて、時代は違えど、抱えている問題はそのまま現代のF1シーンにも当てはまるという凄さ。

脚本書いた人(ロバート・アーサー)は本当にF1を良く知り抜いているな、という。
例えばモナコでの事故の起こり方1つとっても、安易な我の張り合いの末の接触ではなく、譲る意志があったのに、ブレーキが不調になったせいで追突して大事故に繋がる、という展開。

また、他のレースでのリタイヤ原因もスロットルケーブルの破断だったり、とにかくリアリティ重視。

最後、モンツァでコースアウトする原因はなんと前を行くマシンからパイプ状のパーツが落下し、それを踏んだか何かしたのが理由という、まるで数年前のバリチェロ/マッサの事故を思い起こさせるような展開。

そして事故のシーンは余計なスローモーションや演出などなく、瞬間的に最悪の状態が起こってしまうという迫真性。

何より感嘆したのは、モンツァオーバルコース。

以前現地でオーバルの遺構を見た時は、本当に歴史的遺産と言う感じがしたものだが、この映画ではそこを250キロ(想定速度)でがんがん実際に走っているという、そしてその車載映像ががんがん見れるという、こんな映像があったとは本当に度肝を抜かれたと同時に、これを当時撮っていてくれたことに感謝したい気持ちにもなった。

しかしだ、この映画に出演している本物のF1ドライバーのほとんどが、この映画公開から数年のうちに他界しているという事実がまた重い。だが、この作品中の映像を見てみると、これはもう、いつ死んでもまったくおかしくない状況だったことがよく分かる。今の安全対策のかけらも見えないのだから。

スチュワートは引退の際、「酷い怪我なく、生きて引退できたことを誇りに思う」ということを言っていたが、これを見ると、その意味がよーくわかるね。

スパなんて今とは違う全長13キロのただの田舎道。麦わらのクッションすらない、ただの田舎道。タイヤがすこしでもはみ出せば、路肩の草にのってスピン~クラッシュは明白。しかも映画中でもちゃんと晴れから雨になるというね。

あとモナコのトンネルが当時はかなり短かったことと、最終コーナーが単なるヘアピンだったことも発見だった。バンディーニの致死事故が起こるまでは、あれを100周してたんだね。

しかも映画中での事故現場も、やはりそのトンネル直後のシケインという。
去年、ペレスがクラッシュした所であり、かつてベンドリンガーが瀕死の重傷を負った所であり、いうまでもなくバンディーニが命を落とした所でもある。

あと、三船敏郎がホンダの宗一郎氏を思わせる役周りで日本チームを牽引する。プロット中ではそこそこ重要な役回り。

それとマラネロのファクトリーが見れるのもかなり嬉しい。私は1992年頃に行ったことがあるが、その時と「フェラーリ」の看板は同じだったな。そしてそこでドライバー起用に関して交わされる考え方のぶつけ合いがまたリアル。

「グランプリを走れるのは24人だけ。だがその中で勝てるドライバーは6人しかいない。お前はその1人じゃない」とね。

今でもその部分は何も変わっていないんだなと、昔から同じだったんだなと、感じ入らざるをえない。

ということで、F1ファンは必見です。
というか、もう皆さん見てるか。