Paul McCartney: Live at Budokan それなりの満足感と物足りなさ

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ん~……、これはどうなんだ。
なんとも微妙なこの気持ちはなんなのか。

●肝心の演奏について

演奏そのものは一昨年東京ドームで見たときのほうがよかった。
武道館では声がいまいちだったし、マイクの前での立ち姿も一作年に比べると老化していたというか、まあ、年を更に取っているのは間違いないわけだが、なんというか疲労感が見えた。連チャンはきつかったか?

実際、“New”の最後では決めのラインを歌い損ねる失態を。
個人的にこの曲は歌詞を暗記していたので、最後、過去形が現在形になるとこ("Then we were new → Now we are new")、そこを歌わなかったのがはっきり聞き取れた。
あれれ?と思っていたら、すぐにその最後の部分だけ演奏し直すという、なんだかな~な展開。
まあ珍しいものが見れたといえばそうなのだが、やはり疲れていたか。


一方で会場の一体感、ポールとの融和具合は間違いなくこれまでのライブにはないものだった。
開演前、会場全体でウェーブが自然発生し、ぐるりぐるりと5周くらい続いたが、サッカースタジアムならいざ知らず、武道館であんなのは初めて。ポールもほぼ1曲ごとにMCを入れてきて、かなり口数が多く、とてもcozyな雰囲気があった。

ただし、曲間のアクションや客とのやり取りだが、あれはなんだかポールが休憩をいれたくてそうやっているように見えなくもなかった。くどいが、やはり疲れていたか。


そしてその曲間の長さも理由のひとつなのか何なのか、真相は知らないが、ドームと比べて演奏曲数がかなり少なめだったのは事実。凝縮されたライブといえば聞こえはいいが、結局、あのチケット代を払った人たちはどう感じたのか。私は一番安い席で見たが、それでもその額があったならドーム公演を2回見れたかと思うと、ちょっと考えなくはない。まあ高めの席で見ていたら、辛かったかな。

それと他はさておき、"Something"と"Here, Today"はやはり聞きたかった。

ついでながら、単なる願望レベルで言えば、たとえば"Baby's in Black""If I Needed Someone""I'm Down"を加えてくれていたなら、この曲数でも納得できたと思う。


●運営の問題

そもそも開演が1時間半も遅れたのはなんだったのか。
リハのため、と説明していたが、しかし、結果として曲数が9~10曲も少なくなるのなら、そのリハは何だったのかということになる。リハではリハなりの曲をやるのは知っているが。

また、客誘導の仕切りが非常によろしくなく、入場するためだけのために周辺の木立の暗がりでぎゅうぎゅうな状態のまま立ちっぱなしにされたり、かと思うと途中で突然列が崩れて、なし崩し的に誘導されたりと。何か新しいやり方を試したかったのか? しかしなんというか、客が生身の人間だという事実を軽視しているような(ライブ時間もあわせて)そういう印象。



一昨年ドームで見ていることもあり、曲数の少なさそのものはまあしょうがないかと思えるのだが、でもやっぱりチケ代を考えると、なんとも。この先、今回の武道館公演が何らかの意味で重みを持つようになっていけば多くの人たちの気持ちも収まるのだろうが、とりあえず今日の段階ではこの企画が成功したとは率直には言い難いのではないか。

*ニュースサイトに「2時間20分の演奏」とあったが、そんなにやっていないからね。実際は2時間弱。1時間55分くらい。