Simon and Garfunkel:Parsley, Sage, ... Audio Fidelity盤、音源で紛糾

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またやってます、ホフマンの掲示板で大論争。
Audio Fidelityから先月発売されたSimon & GarfunkelのParsley, Sage, Rosemary and Thymeの音源が、マスターテープじゃなくて、80年代のCDに使用されたデジタルトランスファーだ、という主張が投稿され、AF社を巻き込むかなりの論議になっている。

その投稿者によれば、デジタルトランスファーを使用したとする根拠は、AF盤と80年代US盤からリップしたデジタルデータが完全にシンクするから、というもの。もしもAF盤のために(一時紛失し、近年再発見された)本当のマスターテープを使っていたのなら、80年代のCDとは絶対にシンクしない、と。しかも、80年代CDはマスターのセーフティコピーが音源なので、なおさらだと。

話を読む限りもっともなのだが、ただし問題はそれをほかに誰も検証していない点。

また、AF代表のマーシャル・ブロンスタイン氏は、はっきりと「マスターテープを使用した」とコメントしている。

そこで、図書館から80年代日本盤(あるいはかなり初期の日本盤)を借りて来て、比較してみた。
この日本盤は、ソニーの32DP283。
曲はHomeward Bound。
波形は、上から日本盤左、右、AF盤左、右チャンネル。

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波形を比較してみると、一見そっくりだが、よく見るとかなり違う。さらに拡大してみると、相当に違うのがわかるし、シンクもしてない。というか、トラックの長さは同一だが、前後の無音部分を除く実質的な曲の長さからして違う。

ということで、日本で現在普通に入手できる音源という意味では、AF盤はユニークな音源といえる。
(80年代US盤については知らね)

掲示板では相変わらず論議が続いているが、正直、個人的には別にどうでもいいかなと思ってしまう。肝心なのは音であって、それに満足いっているのなら、本当の音源がマスターテープそのものだろうと、それのコピーからデジタルトランスファーされたものであろうと、関係ないというか、そこにこだわることがどんな意味があるのかと思ってしまう。投稿者の中には、最初はこのAF盤を絶賛しているのに、この問題が浮上してきたらなぜかその意見を撤回して、全然よくないとか言い出す人もいる。そういう人はいったい何を聞いているのか、何のために聞いているのかと思ってしまうし、もうこうなるとなんのための議論なのかすらよくわからなくなってくる。

確かにスリップケースにはFROM THE ORIGINAL MASTER TAPESと記載されているので、それが本当じゃないとしたら問題ではある。しかし、今回の場合、ホフマンはじめ複数の人間がRTIのスタジオでマスターテープの存在を確認しているし、マーシャル氏もそうだと言明しているのだから、それ以上のことは言えないのじゃないか。

デジタルサンプルがシンクするという点も、1人の投稿者が主張しているだけだし、実際の所、シンクの事実の確認は波形を目視した結果という、実にアナログな手法だったりするわけで。

そもそも、ホフマン掲示板に投稿した人はプロのレコーディングエンジニアらしいのだが、つまりはホフマンと同じ業界の人間がホフマンが運営する掲示板に、ホフマンの仕事を邪魔するような投稿をしているわけで、それってどうなのかと思ってしまうわけだが。ある意味、風説の流布ってやつだし、まあ、AFに対する営業妨害ではあるわな、と。しかもプロの職業人にしては、その後もやたらと投稿していて、もしかしてこの人は暇なのか、と思ってしまう。

いずれにせよ、このAF盤の音はさすがにKevin Grayのマスタリングというか、HiFi指向な音に仕上がっているので、いわゆるAudiophile向きな人にはお勧めです。もうすぐ2作目のSounds of SilenceもAFから出ます。