Beatles:White Album/リマスターCDと比較

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(LPの方はホワイトというよりもブラウンになってしまってるな~)

なんだかんだで9日のリマスター盤発売から2週間経過。

未だ全部はしっかりと聞き込めていないものの、あれこれ比較しながら聞いているうちに、旧CDやLP盤との違いは多々あれど、今回のこれはこれで「マスタリングの一つのバージョン」という程度のことでいいんじゃないかと思えてきた。

87年版CDはデジタルへのトランスファー作業過程にいろいろと不満足な部分があったゆえ、リマスター盤が待望されていたわけだろうが、今回は24bit/192khzトランスファーを大元にしている以上、今までの最大の不満点は解消されている、と。となれば、あとは今回のマスタリングの方向性が気に入るかどうか、ということだろう、と。

UKオリジナルLP盤にしても、マスターテープの音にリミッターかけたりEQかけたりしているわけで、マスターテープそのものの音ではない。

発売中の音楽雑誌をあれこれ読むと、今回のマスタリングを担当したアラン・ローズははっきりと「現代的な環境に合わせて」「ベースを強くした」と言っている。なのでリマスター盤を聞いた際の「低音が大きい!」という印象は当然というか、その通りですよ、と。で、マスターテープ本来の音のバランスを聞きたければ、モノバージョンを聞けばいい、ってことなんだろうな~

●"Julia"のジョンの声
ということで、White Album。粒立ちの良さアップ、解像度アップはこの際おいておくとして、全体的にラウドな曲よりも静かめのアコースティック系の曲の印象が違って聞こえた。

一番目立つのが"Julia"のジョンのボーカルかな~。一聴して「うわ、ボーカル目立つな~」という印象。はっきりくっきりギターのバッキングから分離していて、アンソロ3バージョンの印象に近い。

旧盤CDではもっとバックに埋もれている。念のためUKオリジナルLP盤を聞いたが、この曲は一番内周の曲ということもあり、音の粒立ちはやはりそれほど良くはない。そのせいかボーカルとギターがもっと一体化して聞こえる。ヘッドフォンで聞くと、確かにボーカル真ん中、イントロのギター右chと分かれているのだが。

●"Mother Nature's Son"
リマスター盤のこの曲ではポールのボーカルがシャキっとし過ぎかな~。オリジナル盤のもやがかかったような野原の風景が、ここではシャープネスが上がってピシっと見えちゃう、みたいな。静かな曲ではどれもボーカルを目立たせる方向に振っているように思える。

●"Revolution 9"
実はリマスター盤でいちばん聞きやすくなったのがこれかも。冒頭のスタジオ内での男性二人(マーチンと誰か?)の会話からして、より明瞭かつラウド目。テープエフェクトの混沌感が薄まり、それぞれの素材の音がはっきりと聞き取れるようになった。

ある意味では一つの作品が解体されたような印象も受ける。今までは現代アートの作品全体を聞いていたが、このリマスター盤ではそれの各要素を分析的に聞いている、みたいな。

●"Good Night"
タモリ倶楽部萩原健太さんも指摘していたが、リンゴのボーカルが87年盤よりも奥に引っ込んだ印象。壮麗なオーケストラと一体化し、埋没しそうになる。で、UKオリジナルLP盤を聞いてみると、実は今回のバージョンの方がオリジナル仕様には近かった。結果、一番リンゴの声が聞き取りやすいのは87年盤、ということで、おやすみなさい~

これ以外の曲については、まだあまり聞き込んでいないのでなんとも言い難し。さくっと聞いた限りではほとんど旧CDと差異が感じられない曲も多々あり。