Beach Boys:Pet Sounds DCC vs. AFの聞き比べ!

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     (上がDCC、下が今回発売されたAF。DCCのケースは本来はリフトロックタイプ)


Audio Fidelity(http://www.audiofidelity.net/
からPet Soundsが発売された。
マスタリングエンジニアのS. Hoffmanは、DCCから発売されたときと同じマスターを使用しつつ、エンコーディングHDCDに、また、当然ながらその他のマスタリング機材のケーブル類もDCCの時とは異なる。

(4/23追記)
元々のマスターテープはLAマスターで、1曲目や最後の電車音をはじめ、音の欠落やLAマスターがぼろぼろになっていた部分は、NYマスターからの音で補っている。このマスターテープからのデジタルコピーとアナログコピー作業は1992年10月頃に行われ、(修復と)マスタリングには試行錯誤の末に約9週間を要したそう。それぞれがDCCのCD、DCCのLPとなった。今回のAFはこのときのデジタルマスターを使用。
(追記ここまで)

この2つを自前のオーディオで比較した結果、以下のような印象となった。

●まず、HDCDをデコードしないCDプレーヤーで聞いた時:
・DCCの方が音が柔らかい。
・AFはやや硬めの印象。
・各パートの音の輪郭はAFの方が明確、明瞭、くっきり。DCCは音の輪郭が拡散するというかぼやけるというか、滲むような印象。
・AFは特にベース音の輪郭が鮮明、明確。
・喩えて言えば、DCCは女性的、AFは男性的。
・喩えて言えば、DCCはレトロ、AFはモダン。

●次にHDCDをデコードするプレーヤーで聞いた時:
・DCCの方が音量がやや大きい。これは何度も繰り返し聞いたが間違いないと思う。自分以外の人間に聞かせても同じだった。その後、普通のCDプレーヤーで聞いたがやはり同じように感じた。
・そのせいかDCCの方がボーカルや各パーツが前面に出てくる感じ。これはAFのボリュームを上げても同じ印象(プラシーボ効果もあるか?)。ミックスのバランスが微妙に違うようにも感じられる(あり得ないのだが)。
・それ以外の音質に関しては、何度聞いても判別不可能。音の柔かさとか硬さについてもほぼ同一。恐らく、ブラインドテストされたら、音質に関しては、どちらを聞いているのかは正解できないと思う。

(4/23追記)
その後、音量を大きめにして聞き直してみた。
すると……、う~ん、明らかにDCCの方が音像の広がりがあり、生音感も上。AFは音が細くて、硬い。DCCからは空気感が感じられるが、AFにはそれがない。

Wouldnt it be niceの1発目のバスドラや、I'm Waiting for the dayのバスドラの音を聞くと、それが顕著に感じられる。

また、指摘されて気付いたのだが、AFのI'm Waiting for the dayのイントロは何か変。テープがよれているいるような変な感じがする。
(追記ここまで)

●その他:
・パッケージのクオリティはDCCが上。ジャケットの写真はDCCの方が鮮明。AFは明らかに何かのコピーっぽいし(Hoffmanは発売の3週間くらい前にLPジャケのスキャンを募集していた)、オリジナルと比べて左上のロゴが大きく、レイアウトが微妙に違う。またロゴの色調が浅いレモン色になっていて、カラーコピーっぽい。AFは右端に余分な白枠がある。
・AFのジャケ写は、右端のアル・ジャーディーンの髪型が修正されていないバージョン。これはレア。
・DCCでは、最後の電車と犬の鳴き声セクションに個別のトラックが振り当てられていたが(Conclusionとタイトルまで付けられていた)、今回はキャロライン・ノーと一緒のトラックになった。
・AFでは、7曲目と8曲目(LPならA面最後とB面の最初)の曲間が約9秒ある。DCCでは1~2秒。
・ボーナストラックの直前に約9秒の無音部があるのはどちらも同じ。
・各曲のフェードアウトは2dbずつ階段を下りるように音量が下がっていく"step-fade"。これはオリジナルマスターのまま。

結論としてどちらがいいかは、うーん、その人の好みだろう、と。
自分としてはDCCの方が聞いていて楽しい感じがするので、DCCが好きかな。盤面のデザインを含め、全体的なレプリカ具合がDCCの方が上だし。

また、今回敢えてHDCDにした理由が、音からは感じられなかった。できれば今後発売するタイトルは、普通のCDにしてほしいというのが正直な感想。

(4/23追記)
大きめの音量で聞いた結論としては、DCCの方がかなりいい感じ。
AFを最初に聞いた時の音が硬いという印象は、音が細くなったせいなのかもしれない。
決定版はDCCでよろしいかと。(売らなくてよかった! ふぅ~)
(追記ここまで)

特に来月発売予定のドアーズは、かつてDCCから発売されたタイトルが全て通常CDなので、通常CDにしてもらいたかった(――過去形で書いたのは、まだ発売されていないものの、多分すでにマスタリング作業は終了していると思われるため)。