ビートルズのCDがリマスターされるということで、久しぶりにAbbey Roadなんぞを聞いてみた。フルに聞いたのは何年振りかな~
上は1983年5月21日日本発売のCP 35-3016、下は1987年発売のイギリス盤、CDP7 464462。
●フェイク盤について
CP35は発売後に回収になった云々の話は誰もがご存知の通り。
これにはフェイク盤もあるそうで、それのマトリックスは末尾が17A1。
ただしオリジナル盤にも17A1はある。
また、ソニープレスと東芝プレスがあって、マトリックスも複数あり、帯がなくてステッカーだけのやつもある、と。
見分け方として一番簡単そうなのは、フェイク盤はブラックトライアングルの内側の端っこが、マトリックスが記載されているシルバー部分まではみ出している点。また、ジャケットがいかにもカラーコピーな色調で、どぎつい感じ。また、棚差ししたときの背帯の幅がやや太い。フェイク盤は新宿のレコ屋で以前見かけたな~
●音源について
CP35は、1978年6月5日発売のプロ・ユース・シリーズ、EALF-97001に使用されたのと同じマスターテープを使用。これはイギリスの本家本元マスターテープのコピー。CP35ではこれをフラットトランスファーしている。
ゆえに、世界で唯一、(ジェネレーションは1つ落ちるが)Abbey Roadのマスターテープの音をそのまま聞ける音源である、と。EALF-97001の方は、これにEQ処理が施されている。B面の収録時間が長いため、LPでフラットトランスファーは無理なのだそう(テクニカルな理由は私にはわからないが)。
●比較
で、この2つのCDを聞き比べてみると……、なんだかんだ批判されているビートルズのCDではありますが、このタイトルに関する限り、現行盤も別に悪くはない。一聴しただけでは、さほどCP35との違いも感じられない。
だが各楽器の微妙なニュアンスによーく耳を傾けてみると……、確かにCP35の方がナチュラルな音。Come Togetherのドタドタドタというドラムの音からして違う。
CP35は生音に近い感触だが、CDP7はより尖った感じで、敢えて超極端に表現するならば耳に鋭く飛び込んでくるキツさのある音。そう思って順番に聞いていくと、Here Comes the Sunのギターの音や、Golden Slumbersの出だしのピアノに続くポールのボーカルなど、やはり生音感はCP35の方が上。この曲の出だしは生艶っぽくてゾクッとする感じすらある。
ただしこれは敢えて大げさに言えばの話で、実際にはCDP7の方も、単独で聞いている限り特に不満はないかも。
CDP7のノイズリダクションの程度はわからないが、こちらもCP35同様にヒスノイズがばっちり聞こえるので、基本的にはノイズリダクションしていないと思われる(部分的に、あるいはある程度はしている?)。テープのジェネレーションとしてはCDP7の方が上だろうし、あとはEQとコンプレッションの違いか。音量はややCDP7の方が大きい。
ということで、まあやっぱりファン心理としてはCP35は持っていたいかも……、だけど、正直、それほどこだわるものでもないかなという気も。
それより、9月のリマスター盤ではどんな音になっているのか?まー、個人的にはあまり期待していないし、たぶんその予想通りの音だとは思うが、でもやっぱり聞いてみたいのは確か。買うかどうかはさておき。
●pre-emphasisについて
もうひとつCP35の留意事項は、プリエンファシスがかかっていること。なので、これを安直にリップしてCD-Rなどに焼き直すと、高音が妙に強調されたヒスノイズばりばりの音になる可能性あり。
検索したところ、iTunesを使えば全く問題ない、ということらしいが、実際にMacで試してみたらダメだった。iTunesのバージョンが関係あるのか? ちなみにWinでAACエンコードしたものもダメだった。当然ながら、普通に原盤をCDプレーヤーで聞いている分には問題ないのだが。
これについては(知っている人にとっては超今更な話でしょうが)、EACの手順がやや面倒なので、忘れないうちに近日ネタにしてアップしとくかな~