The Who / My Generationモノ盤比較その2 マスターは本当に違うんですよね?

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今度は昨年発売の日本盤仕様『マイ・ジェネレイション/ザ・フゥー』(紙ジャケ/UICP-93001)と今回のUICY-6988を比べてみた。

結論から言うとこのふたつの音の違いは「微妙」だが、確かに今作の方が上。

音の善し悪しの前にまず疑問を感じたのは昨年盤のマスターの出自。

今回のモノ盤CDのライナーによれば、シェル・タルミーは2002年の時点で所有していたモノマスター含むテープをすべてユニバーサルに手渡した、と。

一方で昨年の紙ジャケの帯の裏を見ると「US所有のマスターより24bitリマスタリング」とある。ということは、もしかして昨年の紙ジャケ盤のために既にタルミー提供のオリジナルマスターが使われていた可能性がないでもないのか、という疑問が沸いてくる。「US所有」という言い回しがどうにも曖昧。

しかもClassic Recordsは2006年の時点でタルミーのモノマスターを使用したと言っているのだから、翌2007年の紙ジャケにそれが使われていたとしても不思議はない。というか、ある意味、その方が自然かも??? 目の前にタルミー・モノマスターがあるのに、わざわざそうじゃない昔のマスターを選んで送ってくる必然性がよくわからない。敢えてそういう指示をしたのか。

しかし、今回のCDの帯裏ではしっかりと「オリジナルのモノミックスは今回が初のCD化となる」と書いてあり、タルミー版モノマスターは初登場であることをうかがわせる。う~ん、だとするなら紙ジャケ時の「US所有のマスター」ってなんだ? 米MCA盤CDの元になったであろう大昔のマスターテープのこと?(でも米MCA盤CDのMy Generationは盤落としという話を聞いたことがあるが……。他の編集盤で使用した各曲のマスターを集めたのかな)

米MCA盤CDが手元にないのでその音との比較ができないが、ただし、2007年盤を聞いた限りでは、ショートバージョンのKids以外は、当然ながら基本的に今回のモノミックスとの相違はない。

だとしたら今回が「オリジナルモノミックス初CD化」とまでは言えないのでは? 「オリジナルUK盤通りの曲順のモノミックスCD」としては初だが、少なくともオリジナルモノミックスは(元のマスターテープがどれであれ)昨年の紙ジャケで世に出ている。

で、2007年紙ジャケ盤と2008年盤を比較すると、一番音の感触が違うのがそのKidsだったりする。2007年盤は今回のよりも低音(ベースかな)の歪みノイズが大きい。全体的により圧縮されている感じ、というか。ま、バージョンが違うということはマスターが違うわけなので違っていて当然だが。

他の曲は微妙。2008年盤My Generationは出だしからシンバルの音が2007年盤より明確かな。Liesは2007年盤の方が音像が狭いというか音が細いのかな、という感じ。この曲は2008年盤の方がコーラスとピアノが際立っているように聞こえる。

全般的に2007年盤の方が音が軽くて昔の日本のレコードの音っぽい印象で(“フゥー”の日本盤を聞いたことはないけど)、2008年盤はよりクリアかつリアルでややがっしりした感じがする。プラシーボ効果があるかもしれないので確信はあまりないが、とりあえずはそのような印象。

「US所有」が本当に別マスターだとしたら、タルミー・オリジナルマスターとの差が想像していた程、決定的ではないことが意外な気がする。どうなんでしょうね、マスターテープ。

~~追記~~
更に聞き込んだ結果、個人的にやっぱり2007年盤は2008年盤に比べて音質がイマイチという結論に達した。2007年盤は曲ごとに善し悪しにばらつきがあって安定感に欠ける。元々曲の入れ替えなどを経てできあがったアルバムだからか。

ということで、2008年盤がMGのモノ盤CDとしては決定版でいいかなと。