Billy Joel: Mofi vinyl vs. U.S. AAA orig vinyl of Piano Man
WPの記事がアップされてから改めて議論が深まるというか混迷し続けるMofi debacle。で、WPの記者Geoff EdgersさんがMike 45とようつべで対談。あー、記者がこんなに早い段階で裏側をようつべで話してしまうというのはどうなのか。記事を読んだ人それぞれがあれこれ考える時間を持つことも大切なのではないか。なんでもかんでもすぐに種明かしすればいいというものではあるまい。Mike 45のチャンネルの視聴率アップに貢献しただけ。しかもWPの紙版は対談当日に世に出るというタイミング。記事についてSHMFであれこれ発言があるのは確かだが、それにいちいち反応する必要もあるまいに。まずはMofiに社会的責任?を考えてもらう時間を置くことが優先であって、個々の消費者の個人的都合はその次の対応。それが嫌な人は(既にいるようだが)訴訟を起こすという具体的アクションを取ればよい。掲示板に書き込むだけではね。その掲示板でよく言われているように、caveat emptor(購入者責任、購入する商品の品質を評価する責任は消費者が負う)のだから。
Geoff Edgers Washington Post on his MoFi Article and other Projects - YouTube
その対談に対するAz Mikeのコメント。
いやーこのスピード感、インターネット時代だねー。
ところでこの前のここへの投稿でBilly Joel / Piano Man MFSL vinylを買った理由を「オリジナル盤がそもそもなかなかない、かつ高価だったため」と書いたが半分訂正だ。なかなかないのはそうだと今も感じる。しかし探すとあるもんだ(上の写真右)。そして高価ですらなかった。今回の盤は全てTravelin'表記でインナー付き傷なし美盤で¥1,000にかなりのお釣りがきた。
そして音質だが、グルーブダメージまったくなしの盤が持つポテンシャルを存分に発揮。素晴らしいダイナミズムとリアリティ。これこそ70年代のAAA vinyl。Mofi盤の約10分の1の経済的負担でこれを体験できるのだから、わざわざデジタルヴァイナルに手を伸ばす必要がどこにあるだろうか? ということなのですな。
Coplandを思わせるThe Ballad of Billy the Kidは初期の傑作アルバムを決定づける曲だろうし、同じくその流れにあるStop in Nevadaの伸びやかなヴォーカルワークは何度聴いても飽きないというか驚嘆を禁じ得ない。今更だが、Billyよ、あなたはすごいよ。B面最終曲Captain Jackではバックの高音とDレンジがインナーディストーション系歪みの一例になっているが、まこれはvinylというメディウムの特性なのだな。しかしそこにあってもヴォーカルは歪まないというこの匠の技のマスタリング/カッティング技術よ(アルチザンカッティングでほぼ初回マトリクス)。
音とは関係ないが、Mofiは上端にバナーを入れる関係かジャケのアートワークが拡大されている。なので顔がでかい。ちょっと怖いよ。でそのMofi盤の音だがきれいな音、以上。という感じ。コンプレッションをかけていない或いはオリジナル盤比較でかるくしかかけていない・ゲインを抑えてダイナミックレンジ重視なのはわかるが、しかし結果的には特に感動のないきれいな(だけの)音、とでも言おうか。この方向性は80年代の頃から変わらないな、と。
●AADAとAAAAの違いは聴き取れるのかーの問題
Mofi盤の場合、私含めその音に「ん?」と思っていた人は多数いる(掲示板の印象)。しかし「ん?」と思っても当のMofiが「アナログです(キッパリ)」と言うなら「そうかそうなのか」とならざるをえない状況ではあったわけで。だから「Audiophileとやらは結局音源の違いはわからないじゃん」という批判は的確ではなかろう。
でも多分CD音源のvinyl なら誰でもわかるんじゃないかな。「CDと変わらないね」みたいな感じで。ハイレゾになってくると難しいだろうが、個人的にはデジタル盤は綺麗すぎる・聴いていて面白くない のがパターンかなとは思う。
同時に、S&G BOTW OneStep(DSD256)に違和を感じた自分の耳は信じる。しかし、その違和感が「=聴き分けられる」証左とまでは言えないかな。聴き分けるというのは意識的能動的行為だが、違和感を覚えるのはむしろ無意識的受動的反応だろう。だから能動的解答を要求されるようなブラインドテストは無理だと思われる。
あるいはその違和感は単にMofiのマスタリングチョイスへの違和感かもしれないわけで(それゆえにMofiに嵌まらなかったというのがより的確か)。
●個人的結論
インフレとか日本の経済力の沈下とかいろいろあるはあるでそれはそれで人が経済的な面も含めて趣味にどう向き合おうがその人の自由だよというまずは前提があって。それであくまで個人的にちょっと思うのはもはや新リマスター盤を聴いている場合じゃないんじゃないか、と(買う時は買うけど)。デジタルかもなーな新盤の半分〜1/10の投資でAAA盤ですよ(70年代までのオリジナル〜リプレス盤。もちろんused)。生きている時間と投資できる総額には制限がある。だからデジタルリマスター盤1枚よりは、〜10枚AAA盤を聴くことが今は当為だな。ただしレコードの「積読」問題が生じるが。w
(付録)●DSDからのマスタリングプロセスって?
前回も書いたが結局今もDSDのままのEQは容易ではないようで。あるにはあるが、みたいな段階。となると、Mofi等SACDではざっくり表すと
a. DSD ->アナログEQ->DSDキャプチャ->SACD
となるのかなと想像。aはDAC/ADC経由かー。bはPCM経由かー。いずれにせよ劣化はするが始まりがDSD256ならそれも無視していいレベルとかいう考え方なのか。どちらかとなると素人考えではデジタルドメインのままのbがいいかと思うが聴覚上はどうなのか。ただしDSD64始まりのMofi盤も多数あり。BOTTなど。
Vinylの場合だと
DSD ->アナログEQ->lacquer->vinyl
か。この場合DACが1回。DSD256からディザーしないのでこれだけ考えるとvinyl版のほうがSACD版より優位?
☆Vinyl のマスタリングプロセスは上記で正解でした。Tube ampを使っているというのは新情報。
https://www.theabsolutesound.com/articles/mofi-president-jim-davis-on-the-companys-mastering-process