The Beatles: "The Singles Collection" : They sound excellent, good, okay or dud.

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It's arrived.

 

なんというかねぇ、SH掲示板のみなのもの、いい加減にしろという感じになってきたぜ。要は今回のボックスを買ってない、つまり聞いていない人々が他人の発言をなぜか根拠に持論を主張しまくるからこうなる。不思議な人々よ、audiophilesとは。このコンテンツにして$200というprice tagだけに気軽に決断しにくいのはわかるが、であれば、もう少し実際に聞いている人間のコメントへのrespectがあってもいいかなー。

 

では、とりあえず一通り聴き終えた時点での印象を(いつもながら自分のために)書く。

 

全体的にざっくり言うと、確かにMono Boxの時のように絶賛という気持ちではないな。まあジャケの写真のクオリティがどうみてもスキャンプラス適当な後処理なので、その辺からして完成度はいまいち。ただし、厚紙のジャケにしたのはよかった。写真の選定に関して不満なのは既に触れた通り。なのでそういう部分の完成度の低さからして絶賛という流れにはなりにくい。

 

ただ、音質は疑心暗鬼になっていた分、プラスの印象。というか、Mr Fremerが言っているような音ではまったくないし、過去のシングル盤と比較しても遜色ないどころか別次元なんじゃないのかなこれは。

 

かつてのシングル盤(オリジナル盤や70〜80年代の再発盤)にありがちなチリノイズが皆無。また音をつぶし過ぎてもいない。カッティングチェイン全体の質が上がっているのか、音像も非常にクリアでダイナミック、3Dというか奥行き感もある。モノラルでも。いやモノラルだからなお、というか。

 

だがそれ以上にexcellentなのは、ステレオのタイトル。中でも"Something"、"Let it be"、"Don't let me down"、そして"You know my name"はこれまでのどの盤よりもいいように感じる。まあ手元にある全盤を聞き直したわけではないものの、AAAリマスター青盤よりははるかにいい。"Don't let me down"はリミックスかと思うくらい(単に曲を忘れていただけだったが)。

 

それから"Free as a bird"と"Real love"は、こんなにミッドレンジ〜ボトムが豊饒だったかな? と思わせる秀逸なマスタリング。記憶の中にあるオリジナル盤の音はもっと薄っぺらくてまさにデジタルという音だったのだが、今回のこれはいい。感動を新たにした。まじで。

 

逆に初期の曲もノイズフリーな盤のお陰もありかなり好印象。特に"She loves you"はこれまでで一番聴きやすいというか耳障り感がすくないスムーズというか心地よい音像。無駄にコンプレッションかけていないな、という。これは全体的に言える。"Help!"、"I'm down"もしかり。

 

逆に「ここでも救えなかったか」と思ったのは、"Rain"。これはもうミックスからやり直さないとダメなんじゃないかなと個人的には思う。名曲扱いされているが…、ジョンのという意味であれば"I am the walrus"での天才性という話の方が個人的にはわかるわ。で、"walrus"のマスタリングも良好。潰されて混濁とした音像に決して陥らないのが素晴らしい。どの盤も。

 

と言いつつ、どうしても理解できない仕上がりなのが"Strawberry fields forever"。ジョンの声が、異常にトレブリーでガリガリ、ほっそい。キンキンしていて頭痛がしてくる。これがMr Fremerの言う「AMラジオのような音」というのだったら、わからなくはない。なぜこんな音像になったのか不思議。"Penny lane"でもその傾向が続く。ただし、David Mason氏(1926-2011)によるpiccolo trumpetの音色はこの曲史上最高かも。そこに合わせてマスタリングしたというのだったら、ぎりぎり許せる範囲。でも"SFF"はだめ。ステレオだがドイツプレスのLPがやはり最高。この曲に関しては。

 

あとイマイチとしか言いようがないのは、"She's a woman"。なぜかこの曲だけ、全般的にノイズが後ろに入る。チリチリジリジリ。両チャンネルに。クリーニングしても変わらず。これはテープの劣化なのか、カッティングなのか、プレーティングなのか。あとこれの音の印象としては、「リヴァーブなしヴァージョン」として昔のEPボックスのボーナスEP収録(でしたよね?)の音の方がいいかな。それと比べると今回のはなんだか曲の出だしから曇っている印象。ドライになりきっていない。

 

ほかはなんだかんだでいい感じに仕上がっているんじゃないかな、と思う。聞き込んでいないからまた印象は変わる可能性十分ありだが、たとえば"All you need is love"はあのスタジオライヴの空気感もリラックスしすぎず緊張感のある音像としてまとまっているし、アウトロもオリジナル初回盤同様、最後まで収録されていておっけー。"We can work it out"は"so I will ask you once again"などでのドラム3拍のでかい音が潰れずになりきるのがうれしい。"A hard day's night"は、最初の「ジャーン!」が「ガーン!」に近くて、人生で初めてこの曲を聞いた時の衝撃と動揺が蘇った。ややラウドに過ぎるかとも思うが許す。

 

Mono Mastersと比べると全体的に押し出しが強め。でもシングルだからこれでいいと思う。それにMono Mastersと同じ音像だったら、それこそ買う意味がないというか、ただの棚飾り用アイテムになってしまうわけでね。あ、あとちょっと残念だったのは"Love me do"が2012年盤と比べてほぼなんの違いもないように感じられたこと。今回はデジタルから直接だが、2012年盤もそうだったのか、な? あ、"Ask me why"はLPの方のミックス。

 

デジタルソースがどうのこうのという話題は、此の期に及んではもはやどうでもいい、な。ということで、Mr Fremer風に個人的に感じた音質を10いや11段階で評価するなら、7〜10。5ではない。決して。

 

正直、思っていた以上に楽しめるアイテム。こうしたブツが出てくるお陰で、どこかに眠っていたシングル盤を掘り出して聴き比べるという暇の潰し方、いや幸福な人生の過ごし方がまたできるわけで、それはそれでありがたいことだなと思う。リミックスは個人的に食傷気味なので、次はEPボックスをお願いしたい。というか、流れ的に必然だよな。もちろん、Long Tall Sallyはすでに出ているものの。