The Whoの来日が決まったところで、ひとつWhoネタ。
WhoのWho's Nextは1971年発表の5作目(Live at Leedsを入れれば6作目か)。この作品のCD化の際、マスタリングを担当したのが例のスティーブ・ホフマン氏。で、その原音であるマスターテープが色々とややこしいことになっている。
まず1971年のオリジナル盤発売の際、オリジナルマスターテープがイギリスからアメリカはL.A.にあるMastering Labに送られ、そこで最初のラッカー盤がカットされた。この時同時に再プレス用としてEQとコンプ(レッサー)が施されたカッティングマスターが作られた。15k以上にリミッターがかけられたため、トップエンドが圧縮されている。中音域もやや影響を受け、全体的にメリハリに欠けるサウンドになった。そしてこれがアメリカのデッカ盤となる。
イギリス側はMastering Labからカッティングマスターのコピーを受け取り、それを使用してイギリス盤が制作された。ただしこれにはEQは施されておらず、トップエンドのリミッターのみだったとか。
時は流れ、1984年になりアメリカでWho's NextのCDが発売されることとなった際、ホフマン氏が元々のマスターテープを発見。これをブルース・ボトニックのDigital Magneticsに持ち込んで自らマスタリングを手掛けた。この際、彼はEQ処理を施している。ここで1/2インチ/2トラック/30ipsテープにムーブされ、これが日本に送られて最初と2回目のアメリカ向けCDに使用された。同じ頃、カナダにもこの音源(もしくはドルビー処理を加えた音源)が送られカナダ盤CDが制作された。このカナダ盤は現在も販売している、と。だがアメリカ盤CDはその後、元のLP用カッティングマスターを基に制作された。なので、アメリカ盤の当初のCDとその後のCDでは音質が異なる(事実関係からすると最初のCDの方が質が良い)。
2003年のデラックスエディション(略してDE)では、オリジナルマスターテープが使用されたが、マスタリングの段階でどのような処理が施されたのかは不明。
また、Classic Records発売のLP盤にもオリジナルマスターが使用されたが、こちらもマスタリングの段階でどのような処理が施されたのかは不明。
(以上、全てソースはホフマン氏の掲示板より)
つまるところ、オリジナルマスターが使用されたのは、
1 ホフマン・マスタリングCD盤
2 DE_CD盤
3 Classics_LP盤
ということ。どれを買ったらいいのかはもちろん聞く人次第。ボーナストラックなどの要素を考えればお得感があるのはDE盤かな? 「ホフマン最高!」という人はもちろんホフマン盤。ホフマン盤は(さすがに名手だけあって)サウンドの奥行き感や、ギターの抑揚感、艶っぽさ、生々しさがひと味違う(サンプリクリップを聞いただけですが)。でも全買いして聞き比べるのもいいかな~。もちろんオリジナルLP盤も入手して(それほどお値段も高くないことだし)。
あ、でも11月のライブに備えて、こんなところ(?)で資金を使い込んでいる場合ではない、のかな? vv