Doors:Soft Parade / Rhino 180g重量盤

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なんだかんだで、とりあえず1枚ゲット。
(RTIとRhinoのステッカー付きで、シュリンクラップされていないバージョン。けっこう探しました。インナーは2つ折りになっているだけ。袋状になっていないので、オリジナルのように盤を入れることはできない。サイズも一回り小さい)

2年前からお騒がせのDoors7枚組ボックスセットから、これはいわばバラ売りバージョン。

音源はオリジナルマスターテープを、24/192でデジタル化したもの。
192khzでサンプリングしているということは、倍音成分も十分に再現できるはず。

今回のマスタリングエンジニアはバーニー・グランドマン。
なので、deadwaxにBGのイニシャルが入っている。

1969年オリジナル盤のマスタリングは、Sound Recorders Studioのアーミン・スタイナーが担当。
彼はリミッター及びEQ処理の後、Half Speedでカッティングしたらしい。

ブルース・ボトニックの解説によれば、Half Speedカッティングの場合、低音が大きく影響を受け、「ベースの一番低い音が1オクターブ下がり、したがってカッティングマシーンのヘッドも対応しきれなくなってしまう」とか。これは、低音が正確にカッティングできないという意味だと思うが、はたして、その場合、実際の聴覚上、低音がしょぼくなるのか?

●オリジナル盤と比較!
理屈をあれこれ考えていてもしょうがないので、取り急ぎ、最新リマスター盤とオリジナル盤を自分の耳で比較してみた。

結果、オリジナル盤の低音が痩せているとか、しょぼいということはなかった。
むしろ、オリジナル盤では、低音に荒々しい響きがあり、好印象。
(なお、手元にあるオリジナル盤はCTHプレス。他のプレス盤とは音の印象が違うかと)

リマスター盤は、全体的に音が整頓され、音がより太くなり、ハイハットからベースまできっちりと鳴る。ただし、ハイハットのチッ、チッ、チッ、という音がやや目立つ。
低音はソリッドで、必要十分な感じ。
他の盤と比較しない限りは、不足している感じはない。

全体的に言うと、リマスター盤の方がやはり現代的な音。
オリジナル盤に比べ、音のクラリティ、解像度が優っている。
試しにヘッドフォンで確認してみると、その鮮明度が一層顕著に感じられた。
細かな部分まで神経を使って丁寧にレストアした盤という印象。
盤のフロアノイズは極小で非常に静か。プチノイズもほとんど入らない。
ボックスセットがトラブル続きで、ネガティブな印象を強くしていたが、これならばオーディオフィル仕様と言っていいと思う。

オリジナル盤は、敢えて言えば、よりロックっぽく、現役だった当時のバンドの勢いというか、現在進行形で最新作を世に問う果敢な姿勢を反映したような音。
音像はよりアナログっぽく、ある程度良好な解像度を保ちつつも、それぞれの音がサウンドステージの中で溶け合っている。
正直、この2種は甲乙付け難く、どちらも良い。

今の所、この2枚とAFのゴールドCDを合わせ、3枚をあれこれ聞きまわしている。
低音が一番ズーンとくるのはゴールドCDだね。
ゴールドCDは低音寄り、このリマスター盤は高音寄り、オリジナル盤が真ん中くらい、という感じ。

個人的な憶測だが、AFのゴールドCDはこのアナログ盤と同じ24/192マスターを使っているように思える。
音の細かな部分までそっくりなので。
そう考えると、グランドマンとホフマンそれぞれが思うマスタリングの方向性の違いが窺えて、ちょっと興味深い。

リマスターという意味ではゴールドCDでもいいわけだが、やはり、vinylの音には捨て難い心地よさがあることを再認識した。