F1:可夢偉のスランプ

シンガポールGPが終わったばかりですが、いやはや、最近のザウバーのレース戦略というか、レース中の戦略判断は酷すぎるね。
と同時に、可夢偉の調子もどんどん下降気味で、だんだん可夢偉に期待しつつF1生中継を見るのが辛くなってきました。

●口は災いの元
振り返ればヨーロッパGPの木曜記者会見、可夢偉は「シーズン終わりまでずっとこの調子でいけると思う」と発言。しかし、実際はまさにあのレースから下り坂が始まったのであった!

ヨーロッパ:16位
イギリス:リタイヤ
ドイツ:9位
ハンガリー:11位
ベルギー:12位
イタリア:リタイヤ
シンガポール:14位

ヨーロッパGPではタイヤ選択に工夫がなく、ペースの悪さが露呈。
イギリスGPではフリー走行時にクラッシュ。これが痛かった。しかも可夢偉のミスはちょっとしたものだったように見えたが、コースアウトした場所が悪く縁石に引っかかった感じになって、派手にクラッシュという運の悪さ。
ドイツではなんとか挽回したものの、ハンガリーではタイヤ交換のタイミングを逸してポイント圏内から脱落。
ベルギーではセーフティーカー時のピットインのタイミングが1周遅くて脱落。
シンガポールでもそれと同じ失敗を再現。
……という流れ。

気になるのは最近のレース後の可夢偉の発言。
Stingerの記事を読むと、「いいかげんにしてくれよ」というチームへの苛立ち、そしてチーム側の対応が十分ではないことが伺える。
この状況はいかんね。
来年の契約を結んだばかりだが、こんな状況でこのチームにいていいのか、とも思わせる。

気になるのは、そうした可夢偉の発言がチーム首脳の耳に届いているのかどうか、という点。
そしてそれが可夢偉に対する心象を悪くしているのでは、とも。

シンガポールGPレース後のチームリリースでは、
トラックエンジニアリングのヘッド、ジャンパオロ・ダラーラが堂々と「I have to be honest and say we should have left Kamui out during the Safety Car period, but still I don't think he could have scored points today」(正直言って、セーフティーカーが出た際は可夢偉をステイアウトさせるべきだったが、しかし、それでもやはり今日の可夢偉がポイントを獲れたとは思わない)と話している。

だが、レースの最速ラップの順位で可夢偉は6番目。もちろんこれはレース終盤の56周目、燃料も軽く、トラフィッックもばらけた状態でのことだが。

後半の“I don't think~”以下は、とりようによっては責任転嫁だね。
可夢偉ファンだったなら、「こんな人が上にたってるのかい?」と不信感爆発かもしれない。
個人的には、そのぐらいこうした類のリリースでは珍しい発言に思える。

更に彼は「Performance-wise I think we are better than we looked」(パフォーマンス面では、見た目よりももっと良いと思う)と、“I think”を連発。だが、その一連の発言に何らかの合理的な根拠があるように見えないのが問題。それがリリースに平然と載っていることも問題。

「見た目より良い」ならば、なにゆえ「それでもやはり可夢偉がポイント獲れたとは思わない」のかが、ちょっと分かりにくい。要するに「可夢偉が予選でミスしなければレースでももっと上に行けた。だけど、このコースでスターティンググリッドがあれだけ下になっちゃったら、戦略ミスがあろうがなかろうがポイント獲得は無理。だから今回の結果はとにかく可夢偉自身のパフォーマンスによるもの」ということか。

お互いをささえあってがんばる、というチーム意識が希薄だね。

その一方で10位入賞のペレスは「コンストラクターズ争いで6位に戻れるよう闘い続ける」と優等生発言。
正直、どちらのドライバーが“チームリーダー”なのかと思わせる。
つまり、可夢偉も口に気をつけるべし、なんじゃないかな?
それと今回の予選でのあの派手なクラッシュは、ありえないだろう。
あの走行ラインを試すんだったらフリー走行で試しておくべき。
というか、試す意味があったのか、と。そのくらい焦りがあるのか?
去年~今年前半の可夢偉の落ち着き感が薄れているように思えるのは気のせいかな?

マシンの方はイギリスGP以降、ホット/コールド・ブローイングの開発を止めちゃったがために、実質的に後退の一途。

その辺をなんとかリカバリーしようとする意識が、チームのぼろぼろのピット作業と戦略ミス、そしてドライバーのミスを誘発しているような感じに見える。辛いね~



前回、可夢偉の移籍先をネタにブログを書いたのが5月末。
それから4カ月後にこういう状況になっていようとは、正に一寸先は闇。