Doors:日本盤ファーストLPは再生スピードが適正だった!

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(上:USオリジナル盤、下:JP再発盤 デッドワックスの幅はJPの方が狭い)



実家のレコードラックからドアーズのファーストLPを引っ張り出して聞いてみた。意外にいい感じ。と思って聞いていたが、なんだかA面最後の"Light My Fire"の印象が違う。いつもみたいにかったるくない。おかしい。うーむ。そこで、例によって携帯のストップウォッチで演奏時間を計測してみた。すると……、6分58秒4。

こ、これは……。もしや日本盤LPではカッティング時にちゃんと再生スピードを修正していたのか?


(注:以前に書いた通り、ドアーズのファーストアルバムは曲が進むに連れて再生スピードが徐々に遅くなる、という問題を抱えている。A面最後の"Light My Fire"にその影響が顕著)


帰宅後、4種類のファーストで同曲の演奏時間を比較。結果、次のようになった。

USオリジナル盤(EKS74007):7分8秒6
UKオリジナル盤(EKS74007):7分9秒2
DCC盤(LPZ-2046):7分7秒7
JP再発盤(16PI-2344):7分1秒2

JP再発盤は実家のターンテーブルの結果と2秒ほど違うので、そのぐらいの回転数の誤差と計測誤差があることが判明。しかし、JP再発盤は明らかに他の3枚よりも再生時間が短い。この差は誤差ではない。

つまり、JP再発盤は、演奏スピードが速い。すなわち、本来のピッチにより近い、ということになる。素晴らしい。さすが日本盤。再発盤だけあって、曲によっては曲の最後の音の減衰が途中でぷっつり切れている(急に無音になる)部分もあるが、音質そのものはオリジナル盤に劣るどころか、よりメリハリの利いたくっきりとした音。これに対抗できるのはDCC盤だけだ。

ちなみにレーベル外側のデッドワックスの幅を測ってみると、
USオリジナル盤(EKS74007):18mm
UKオリジナル盤(EKS74007):19mm
DCC盤(LPZ-2046):8.5mm
JP再発盤(16PI-2344):9mm

なんとDCCとJPはオリジナル盤の1/2ほどの狭さ。

こうしてみるとJP再発盤がオリジナル盤より音の印象が上なのもさもありなん、か。DCCとJPは塩ビ盤の表面をより幅広く使用している、ということは、カッティング時の音質面での妥協がより少ないということになる(らしい。厳密な理由は知らないが)。

今度は音質に優るDCCとJPの別の曲で比較してみた。
“Break On Through”
DCC:2分26秒2
JP:2分25秒3

“Crystal Ship”
DCC:2分31秒2
JP:2分30秒4

いやー、これはちょっと驚いた。ジャケットに記載されている分数は、それぞれ2分25秒、2分30秒なのだ。コンスタントにJPの方が短く、そしてぴったりと言い切っていいくらい実に正確。計測時の多少の誤差はあるにせよ、これはすごい。また、であるならば、Light My Fireの演奏時間も7分0秒~1秒くらいで正確なのかもしれない。

そこで今度は再生スピードを修正したとされるリミックス盤CDのLight My Fireを計測してみた。すると、6分53秒4。ん~、明らかに7分もかからない。でもリミックスだしな。

ここで結論めいたことが言えるとしたら、日英米のドアーズのファーストアルバムの中で、最も再生スピードが適性に近いのは日本盤、ということだろう。なにより、間奏後のあのかったるくなる雰囲気が皆無なのがその証拠と言える。正に、論より証拠。自分の耳で聞いてみなさい、ってことだな。個人的には、このタイトルに関しては、「日本盤最高!」と言いたい。あ~、これ買っておいてくれた昔の俺に感謝!